コラム

免疫とは?

新型コロナの大流行により、私が良かったと思うことが唯一つあります。それは、「免疫」という言葉が馴染みのある日常言語になったということです。テレビでも、新聞でも、この「免疫」という言葉が登場しなかった日はなかったように思います。しかし、私たちがよく使うこの「免疫」とは一体何なのでしょうか。この問いに明確に答えられる方はあまり多くはないでしょう。ズバリ極論すれば、「免疫」とは、キラーT細胞が誘導されることです。細菌やウイルスや癌細胞などの異物が生体内に侵入すると、まずは、NK細胞、樹状細胞、好中球などの自然免疫系が活性化されます、自然免疫系は異物を排除しながら、この情報を獲得免疫系に伝達します。獲得免疫系こそ、キラーT細胞を誘導する免疫系であり、キラーT細胞は異物を特異的に認識してこれを排除します。最終的にこの情報はメモリーT細胞系に記憶されます。この獲得免疫系が如何に活性化されるかということが最近「がん免疫サイクル」という概念で説明されています。「がん免疫サイクル」には7つの関門があります。①がん細胞が破壊される、②樹状細胞が破壊されたがん細胞を取り込んでがん抗原を提示する、③がん抗原を提示した樹状細胞がT細胞をがん抗原を認識するように教育する(priming phase)、④がん抗原を認識するように教育されたT細胞(キラーT細胞)が血液中を移動する、⑤キラーT細胞が血液中からがん細胞に浸潤する、⑥キラーT細胞ががん細胞を認識する、⑦キラーT細胞ががん細胞を攻撃する(effector phase)、という7つの関門です。⑦番目の最後の段階で作用するのがノーベル賞を受賞された本庶佑先生の研究から生まれた、オプジーボという薬です。オプジーボは、上記の「がん免疫サイクル」の7つの関門を通り抜けた元気なキラーT細胞ががん細胞の周囲に集結した状態ではじめて、効く薬です。言い換えれば、オプジーボが効くということは、免疫(キラーT細胞が誘導されている)が活性化されているということの一番の証になるということです。

 

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