コエンザイムQ10とオプジーボ、クエン酸回路ATP

 コエンザイムQ10とは、ミトコンドリアの重要な酵素です。人のエネルギーとして使われる ATPは、解糖系、クエン酸回路(TCA回路)、電子伝達系で産生されます。まず、解糖系を使って、2ATPが産生されます。私たちの身体を構成する主な原子である酸素、炭素、水素、窒素の中で、酸素と水素を反応させてエネルギーを取り出すのは実はとても効率が良いので、解糖系からクエン酸回路でグルコースから水素を奪い電子伝達系でこの水素と酸素を反応させてエネルギー ATPを産生します。クエン酸回路で20個の水素が産生され、電子伝達系で水素はプロトン(H+)と電子に分けられ、これらを酸素と反応させることで34個のATPを産生されます。コエンザイムQ10は、電子伝達系のコンプレック I からコンプレックス IIIに電子を運搬するという重要な役割を果たしています。コエンザイムQ10の機能がなくなると、ATP産生の90%が失われると言われています。これほど重要な役割を果たしているコエンザイムQ10の末梢血中での濃度が最近簡単に測定できるようになりました。ミトコンドリアの電子伝達系のコエンザイムQ10はこの末梢血中のコエンザイムQ10から補充されているため、末梢血中のコエンザイムQ10の濃度はミトコンドリアのコエンザイムQ10濃度と相関している、すなわち末梢血中のコエンザイムQ10濃度でミトコンドリア機能を想定することができると考えられます。オプジーボはミトコンドリア機能が高い方が効果があると報告されていますので、コエンザイムQ10の血中濃度が高いとオプジーボが効く可能性が高くなります。我々は最近、コエンザイムQ10の血中濃度ががん患者の予後(生存期間)と有意に相関することを報告しました (Oncology Letter 20(5), 258, 2020)。

(To be continued)

 

 

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