免疫のコントロールー特に自己免疫性疾患においてー

以前、善玉キラーT細胞と悪玉キラーT細胞のお話をしました。この2つの細胞は、一方が増えれば、他方が減るというきれいな逆相関関係を示します。この2つの細胞は、シーソーのように動的に動きながら、免疫をコントロールしていると考えられます。2つの細胞が動的に動く状態が健康な状態で、この動きが失われた状態が病的な状態になります。がん状態では悪玉キラーT細胞優位な状態が多くなり、そういう状態ではがん患者の予後は悪くなり、長生きできなくなります。自己免疫性疾患では、悪玉キラーT細胞が減少する病態と、悪玉キラーT細胞がやはり増加する病態があります。悪玉キラーT 細胞は別名抑制性T細胞であり、免疫の過剰を抑制する働きがありますが、悪玉になったキラーT 細胞はその抑制の機能まで欠落しているものがいます。その場合には、悪玉キラーT細胞が増加しているにも拘らず、免疫の抑制機能も落ちているので、自己免疫性疾患に罹りやすくなります。自己免疫性疾患でのこの二つの細胞の測定はまだすくないですが、印象的には悪玉キラーT細胞が増加していてしかも免疫抑制機能も低下している症例が多いように感じています。従って、悪玉キラーT細胞の増加している状態ががん患者でも自己免疫性疾患でも異常な状態であり、しかもそれが固定している状態が免疫的に異常な状態となります。我々は悪玉キラーT細胞を数値化しており、悪玉キラーT細胞 > 10.0が異常状態と判定しています。がん患者ではこの悪玉キラーT細胞の数値が 10.0以上の方が予後が不良ですし、自己免疫性疾患でも同様のことが言えそうです。

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