免疫抑制機能を失った悪玉キラーT細胞
自己免疫性疾患やアレルギーをもつ方でも、悪玉キラーT細胞が増加している人が少なからず認められる。これは少し矛盾する話である。なぜなら、悪玉キラーT細胞は別名免疫抑制T細胞であり、これが高ければ免疫が抑制されて自己免疫性疾患などは起こりにくいはずである。ここで新型コロナの話に移りますが、新型コロナでも重症化する人では悪玉キラーT細胞が増加すると報告されています。新型コロナで重症化する患者の中には、サイトカインストームを起こす患者が報告されている。これも悪玉キラーT細胞が増加した病態では考えにくい症状です。これらのことを説明するためには、これらの悪玉キラーT細胞が、がん細胞を殺傷するというキラーT細胞の本来の機能を失っているばかりでなく、免疫抑制機能まで失っていることが示唆されます。免疫抑制機能を失った悪玉キラーT細胞が増加すれば免疫抑制が効かず免疫の暴走が起こり、自己免疫性疾患やサイトカインストームを起こすことが考えられます。従って、悪玉キラーT細胞の中にも、免疫抑制機能を維持しているものとこれを失ったものの2種類が存在すると考えられます。